マウスピース矯正を検討している方の中には、治療に伴う痛みを心配する人も多いでしょう。マウスピース矯正は、矯正治療の中で比較的痛みが少ない方法と言われております。ここでは、マウスピース矯正治療中に感じる痛みの原因とその対処法についてご紹介します。

マウスピース矯正中に痛みを感じる理由

矯正治療における痛みは、歯が正しく動いている証拠でもあります。歯を移動させる過程では、歯槽骨内で歯根膜が伸縮し、これが引っ張られたり圧迫されたりすることで痛みを感じます。マウスピース矯正では、一枚のマウスピースを交換する際の移動量を毎回0.25㎜と決めて(症例によっては半分の動きにして歯の負担を減らして行うこともあります)歯をゆっくりと動かします。持続的に少ない動きで動かすことでワイヤー矯正に比べて、矯正装置による直接的な痛みが少なくなります。

歯が痛くて頬を押さえる女性

マウスピース矯正中の痛みの原因

マウスピースの着脱時の痛み

マウスピースを付けたり外したりする時に、歯への刺激が痛みを引き起こすことがあります。新しいマウスピースをつけた直後、歯の現在の位置とマウスピースが設計する位置の間にズレが生じると、そのズレが大きいほど歯に強い力がかかり、圧迫感を伴う痛みが生じやすくなります。 また、ほとんどのマウスピース矯正では歯にアタッチメントが装着されており、これが歯に圧力がかかります。マウスピースの着脱時にアタッチメントが引っ掛かると、それが原因で歯に刺激が加わり、痛みが感じやすくなります。この痛みは通常2〜3日続きますが、約3~4日で軽減していきます。

食事時の痛み

マウスピース矯正中は、食事の前にマウスピースを外す必要がありますが、この時に痛みを感じることがあります。これは、食事中に不安定な歯にさまざまな力が加わるためです。 特に、硬い食べ物を噛む、通常の速さで食べる、咀嚼を多く必要とする食品を食べる時に、痛みを感じやすくなります。

ゴムの使用による痛み

マウスピース矯正では、治療の効果を高めるために、ゴムかけをすることがあります。このゴムは理想的な歯の位置への移動をさせるために、歯に力を加えますが、通常のマウスピースと比較して違う圧力を歯に与えるため、痛みや不快感を引き起こすことがあります。

歯の移動が進んでいない場合の痛み

マウスピース矯正中に、歯が予定どおりに移動していないにもかかわらず新しいマウスピースに変えると、痛みを引き起こすことがあります。これはマウスピースが完全にはまっていない、または指定される装着時間を守れていないことが原因で、移動していない歯に対して予定外の圧力が加わるためです。

矯正装置の物理的な不具合による痛み

マウスピースの不具合が原因で、痛みを感じる場合があります。これは、マウスピースが適切に作られていないためにお口の中の粘膜を傷つけることがあり、特にマウスピースが歯茎や頬の内側を繰り返し刺激すると、口内炎を引き起こすリスクがあり、その結果、痛みが続くことがあります。

マウスピース矯正中の痛みへの対処法

一つ前のマウスピースに戻す

マウスピース矯正で新しいマウスピースへの交換後に痛みを感じる場合、一つ前のマウスピースへ一時的に戻すことも一つの方法です。これは、新しいマウスピースへの早い交換が原因で痛みが発生している可能性があるためです。痛みがなかった最後のマウスピースをしばらくの間、装着し、正しい歯の移動を促すとよいでしょう。正しい装着時間(1日に20~22時間)を守り、次のマウスピースへ交換する前に痛みがなくなることを確認します。 ただし、この方法を用いると治療期間が長くなる可能性があるので注意が必要です。

マウスピースの調整をする

マウスピースが歯茎や頬の内側を痛める場合、マウスピースの端を調整することで、痛みを和らげることができます。ただし、自分ではマウスピースの調整が難しいため、歯科医師に相談して、適切な指導を受けることが重要です。長期間にわたって同じ部位に刺激が続くと口内炎が発生することもあり、それが痛みの原因となるため、早めに対処しましょう。

歯と歯茎のマッサージ

マウスピース矯正中に歯や歯茎が痛む時、軽くマッサージすることで痛みを和らげることができます。痛みを押し付けるような強い圧力は避け、指の腹や柔らかい歯ブラシを使用して優しくマッサージするのが効果的です。簡単でコストもかからないマッサージは、痛みの緩和に手軽に試せる方法です。

マウスピース矯正中の痛みを感じた時の注意点

マウスピースの勝手な取り外しを避ける

矯正治療時に痛みが生じても、マウスピースの使用を自己判断で中止することは避けるべきです。 歯の移動に伴う痛みであれば通常の反応です。また、マウスピースを使用しないと、歯が元の位置に戻る恐れがあります。痛みがある場合でも、歯が元に戻らないように痛みの少ないマウスピースを継続して使用し、できるだけ早く歯科医師に相談しましょう。 矯正治療の進行に支障をきたさないためにも、自己判断でマウスピースの使用を中止しないようにしましょう。もちろん痛みに関してははめれないほどであるなら、追加のマウスピースを作成した方が良い場合もあるので早めにお電話いただけたらと思います。

痛み止めの使用

矯正治療中に生じる痛みに対して、痛み止めを使用することも一つ方法です。 ワイヤー矯正の場合は痛みが出ることは多いため、ワイヤーを太いワイヤーに交換した場合などは処方する場合もあります。マウスピース矯正の場合は痛み止めを使用するくらいの強い痛みが出ることはほとんどありませんが、続く場合は、適切な薬を歯科医師から処方してもらうようにしましょう。

痛みが強い場合は、当院へご相談ください!

マウスピース矯正を開始してからの2~3日で通常、違和感や痛みは軽減されるはずです。ただし、痛みがひどくて睡眠が取れない場合や、痛みに耐えられず日常生活に支障をきたす場合などは、矯正装置が適切でない可能性が考えられます。このような場合は歯科医院に連絡し、装置の適切な調整を受けましょう。当院では、マウスピース矯正に関する疑問や痛みについての無料カウンセリングも実施しています。「痛みはどれくらいか?」や「ワイヤー矯正に比べて本当に痛くないのか?」といった質問にもお答えしますので、お気軽にお問い合わせください!

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